サムスン8月21日付けのコリアタイムズによると、8月19日に訪韓したIOC会長のトーマス・バッハが、サムスンの後継者(イ・ゴンヒの長男)である副会長のイ・ジェヨン(李在鎔)と、その夜、2時間にわたり夕食を共にし、その席で平昌オリンピックへの更なる援助を求めたそうです。

サムスンとしては会長のイ・ゴンヒ(李健煕)が、2022年までIOCのメンバーとしての権利を有してはいるものの、現在植物人間となって活動が出来ていないので、サムスンの役員によると、スポーツ関係を取趙ヤンホり扱っている、イ・ゴンヒの婿(次女のイ・ソヒョン(李敍顕)の夫)のキム・ジェヨル(金戴烈)が、イ・ゴンヒに変わってIOCメンバーになることを期待しているようです。

平昌組織委員会の長で、大韓航空を抱える、韓進(ハンジン)グループ会長の、趙ヤンホもIOCメンバーになることに色気を出しているようです。

http://koreatimes.co.kr/www/news/tech/2015/08/133_185326.html



IOCのメンバーシップは、継承制にはなっておらず、各オリンピックで選ばれるアスリートメンバー以外は、必ずIOC総会で、IOCメンバーにより選挙で選ばれなければいけないことになっています。


まずIOCメンバーの選挙の候補になるためには、任命委員会(Nominations Commission)が候補者数人を絞り、IOC執行委員会(理事会)に提出します。

理事会メンバーは、任命委員会から受けた提出された候補者を、IOCメンバーが勢ぞろいする総会での選挙にかけるかどうかの承認をします。

そして理事会で承認された最終候補者たちが、IOC総会での選挙で選ばれることになっています。

一見厳格なシステムに見えますが、会長や理事を丸め込めば、任命委員会も会長の意にそぐわない人ばかりを候補に出来るわけもなく、理事会とて、会長や仲間の理事の意をある程度汲んだ最終候補者を決め、IOC総会であっても、会長や理事がある程度根回しをして、会長達の意思がかなり反映されるのが通常となっています。

※この任命委員会は2014年12月モナコでの第127回IOC総会で、バッハの推進する「アジェンダ2020」の一環として、名前が「選挙委員会(IOC Member Election Commission)」に変更されました。5月に選挙委員会のメンバーは決まりましたが、選挙制度が変わったかどうかについては、いまだに「近いうちに発表」とだけしかIOCのホームページ上に書かれていないので、極端な変更は無いものと想像し、前の方法を記載しています。


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トーマス・バッハは8月19日、世界テコンドー連盟から「名誉黒帯十段」を授与されました。


カノ国は、IOCメンバーを作ることと、テコンドーをオリンピック競技として存続させることに必死です。
李明博政権当時、大統領直轄の「国家ブランド委員会(Presidential Council on Nation Branding, Korea)」の活動の一部として、テコンドーの振興は明確に書かれており、国家の政策となっていました。
(現在の朴槿恵政権では李明博時代の形見の「国家ブランド委員会」は無くなりましたが、テコンドーをオリンピック種目に留めておくことには、変わらず力を注いでいます)
https://en.wikipedia.org/wiki/Presidential_Council_on_Nation_Branding,_Korea
(6) Promoting Taekwondo  
(6) テコンドーの振興
This project aims in branding Taekwondo as a prestigious and internationally recognized sport. Through Taekwondo, the council wishes to introduce Korean culture and spiritual value and develop cultural contents and tourist products. The council will also assist in systemizing Taekwondo academies abroad.
このプロジェクトは、テコンドーを威信ある、国際的に認識されたスポーツとしてブランド化することを目指している。議会はテコンドーを通じて、カノ国の文化と精神的な価値を紹介することと、文化的なコンテンツと観光商品の開発を望んでいる。議会は海外のテコンドー・アカデミーの組織化を援助する。



名誉黒帯十段を受けたことがある人は、バッハを含めて今までに4人しかおりません。

その受賞者4人の内訳は…
1人目は、1986年9月18日 フアン・アントニオ・サマランチIOC会長(当時)
2人目が、2006年4月7日  ジャック・ロゲIOC会長(当時)
3人目が、2013年6月4日  潘基文 国連事務総長
そして4人目が 2015年8月19日のトーマス・バッハIOC会長です。

4人の内3人がIOC会長です。
授与に際し金銭についての言及はありませんが、「名誉十段の証明書と胴着と黒帯」をもらっただけで喜ぶとは到底思えず、もしそれだけなら、今までに4人という数はあまりに少なすぎで、もっとたくさんいていいはずだと思います…

他に、名誉黒帯と胴着をもらっている人は、オバマさんプーチンさん、インドネシア・カザフスタン・リトアニアの各大統領などがいますが、皆さん「名誉十段」ではありません


サマランチと金雲龍
1人目のサマランチは、1981年夏、殆ど開催が名古屋で決まっていた1988年のオリンピックを、土壇場でソウルにプレゼントした立役者の一人です。その時から金雲龍(キム・ウンヨン)とのつながりが出来て、1986年9月の世界テコンドー連盟の会長だった金雲龍から、名誉黒帯十段を受けたちょうどひと月後の1986年10月17日、第91回IOC総会で金雲龍はIOCメンバーに就任しました。さらに金雲龍は1988年9月の第94回IOC総会で、IOCメンバーになってからたったの2年弱で理事会メンバーとなる、異例の大出世をしています。

蛇足ですが1990年9月25日にサマランチは、金雲龍が発足人の一人であった「第一回ソウル平和賞 Seoul Peace Prize」を受賞し、賞金30万ドル(約4,100万円: 当時の為替¥136.6/$として)をもらっています。
http://library.la84.org/OlympicInformationCenter/OlympicReview/1990/ore275/ore275n.pdf


2人目のロゲが名誉黒帯十段受ける前年の2005年7月8日に、テコンドーが2012年のロンドン大会の正式種目に決まっています。そしてテコンドーが改革を進めれば2016年の大会やそれ以降もテコンドーが採用されることをほのめかしました。(実際には2009年10月の第121回IOC総会で、2016年大会でのテコンドーの採用について自体が議題に上がらず⇒そのまま正式採用ということになっています)
http://www.wtf.org/bbs/bbs.php?bbs_no=87&bbs_code=10001&bbs_cate=&bbs_num=87&page=39&search=&keyword=&symode=view&PHPSESSID=611d8ef07db67b7858f18d7085532fab
そして当時カノ国のIOCメンバーだったパク・ヨンソン(朴容晟)が、横領と裏金作りで2006年2月に有罪判決を受けて、3月16日にIOCメンバーとしての資格を停止されました。当時は次の総会で2/3以上の賛成があれば、パク・ヨンソンはIOCを追放になると言われていました

そういった状況でも、2006年6月22日、IOCは2014年の冬季五輪招致の最終候補都市の3つの内の1つに平昌を選び、カザフスタン・アマルティ、ジョージア(グルジア)・ボルジョミ、スペイン・ハカ、ブルガリア・ソフィアを落としました。
そして2007年4月にはIOCメンバーの資格を停止されていたパク・ヨンソンが身分を取り戻します
2007年6月にはIOCが世界テコンドー連盟の2つの要求を呑みます。
  1. オリンピックでも銅メダル2個の授与
  2. 北京五輪から テレビ放送権料の引き上げ

ロゲはこの名誉黒帯十段をもらう5日前にも、ソウルの慶熙大学から名誉学位の授与をされています。
ロゲ 2006





ジャック・ロゲ(左から4人目)と
世界テコンドー連盟会長
趙正源(チョ・ジョンウォン)
(右から3人目)








3人目の潘基文は、この賞をもらった半年後の2013年12月13日、国連の「開発と平和のためのスポーツ United Nations Office On Sports For Development And Peace」というプログラムで、世界テコンドー連盟をパートナーに選びました。
テコンドーを発展途上の国々などにばらまき広め、競技人口を増やす媒介として国連を利用させています。
http://www.un.org/wcm/content/site/sport/home/sport/template/news_item.jsp?cid=41421
bankimoon450


そして4人目のバッハ
見返りが、キムヨナの為、平昌までアスリート委員の座を空けておかなければならないカノ国の状況を鑑みて、キム・ジェヨルか、趙ヤンホの、IOC個人メンバー枠への指定席でなければいいなと願っています。
バッハ黒帯
20150819 バッハ 名誉黒帯10段



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